ホテルのプロの夢:海外で働くには
仕事柄、サービス産業で働く日本のプロの人たちにしょっちゅう会いますが、どなたも、できたら海外で働けたい…という夢をもっています。海外でいろいろな国のお客さんに接し、毎日英語を話しながら暮らし、働くとは、仕事としては最高ではありませんか? 会う方の多くが、ニューヨークやサンフランシスコ、ロンドン、シンガポールの最高級ホテルで働きたい、と夢を口にします。
しかし現実には、ほとんどの場合、実現がむずかしいのです。理由は大きくいって3つ。まず、海外での勤務歴がないこと、そして英語能力の欠如、最後に、文化的背景をなかなか理解できないことと、ビザ発給の問題です。
海外のホテルで働こうと思って履歴書を送ると、まず聞かれるのが、職歴の有無です。まず雇ってくれて、様子を見てから決めようなどという悠長なホテルはまずありません。最初から、「これまでの経験からいって、あなたのホテルにとって私は最高の人材である」という態度で臨まなければなりません。また、日本のホテルで働いていたとき、客室部門の次長だった人でも、海外で同じポストに就けるとは限りません。大半のホテルは、海外でも同じ仕事をこなした経験があるかどうかを見てきます。
アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダといった英語圏の国で働くのが夢であれば、高い英語能力が必ず求められます。相手先ホテルが英語テストの実際のスコアを聞いてくるということはあまりないと思われるものの、TOEICで900点以上の実力があることが大事でしょう。アジアの場合はすこし事情が違って、英語能力が一般に「good」であって、TOEICのスコアが800点以上だったら、おそらく大丈夫でしょう。一転してヨーロッパの場合は、英語はもう言わずもがなで、フランス語やドイツ語能力など、プラスアルファが求められることが多くなります。また、行きたいと思っている国に以前学生として、あるいは仕事の見習いなどとして滞在した経験があればなおプラスです。海外のお客さんにサービスし、そのニーズを見極めるには、各国の文化的背景をよく分かっている必要があるからです。
また、ビザ取得手続きが難航する場合もあります。それにビザ発給に取り掛かろうにも、政府が発行する規則や書類自体が難しくて、手続きがわかるまでが大変な場合もあります。しかし、頑張れば何とかなる点が救いでしょう。行き先ホテルがバックアップしてくれれば、労働ビザの取得も通常よりずっと容易になります。
最後に、海外で働きたいと思うのであれば、よくよく戦略を練ることが大事です。ヒントをいくつかご紹介しましょう。
1. 履歴書とカバーレターは完璧なものを準備しましょう。履歴書は、応募したい職種に合わせて準備してください。たとえば、料飲部門での経験しかないのに、フロントの仕事に応募しても意味がありません。また、スペルミスがないか、文章は読みやすく、それでいて自分の能力をしっかりアピールできているか、などに注意しましょう。また、海外のホテルには少なくとも50件、多ければ100件くらいの履歴書を書く覚悟で臨んでください。そうしたうえで、返事は3通か4通もらえるかもしれない、くらいの気持ちで臨んでください。また、積極的に就職の意志があることをアピールするために、節度ある態度を保ちつつ、ホテルに何度も連絡するのもよいでしょう。
2.面接の可能性がある場合は、その国まで面接に出かける用意があることを伝えましょう。ホテル側も自分のホテルで重要な仕事を任せるからには、採用したいと思う人材に面と向かって会いたいという思いがあるからです。
3.(ビザ取得に関しては)弁護士に任せる用意があることを伝えましょう。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの国では、受け入れ先ホテルにあなたを雇う意志があったにしても、ビザ取得の手続きをホテルが請け負うのは大変な負担になります。弁護士を雇えば、ビザ取得の手続きがずっと簡単になります。
4.英語能力をアピールしましょう。シャイではいけません。ホテルに電話をかけて話したり、書面で連絡したりして、プロレベルの言語能力があることをアピールしましょう。
6.営業売り上げに貢献できることをアピールしましょう。ホテル側は、あなたを雇うことによって日本関係の仕事が増えれば大歓迎のはずです。営業経験があって、販促にも精通しているのならば、受け入れ先ホテルに対してどう貢献できるかなどを、自信をもって伝えましょう。
マシュー・サスマンは海外ホテルインターンシップ紹介企業「アスパイアインターンシップス」の日本代表。アメリカ、イギリス、オーストラリア、
マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、モルジブなどでのプログラムを手がける。
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